2016年8月30日火曜日

何合目を目指せるか?【伊藤大介】



やっとの想いで辿り着くことができた富士山8合目の朝の風景、これをみて選手たちは何を感じ、何を想ったでしょうか?
綺麗、凄い、それは見た目の感想に過ぎません。
心の中に、意識の中に、どのような感情が芽生えたか?
この写真をみた時に、その感情を思い出して欲しいと思います。

かなりの苦労をして掴むことができた景色であり、そこに至るまでのプロセス(まさに道のり)は非常に険しく、シンプルで月並みですが「がんばって良かった」という想いがあるに違いありません。
そして、自分はきつくても乗り越えることができる力があると実感できたことと思います。



それはまるでAFC発足からこれまでの道のりのようでした。

台風が心配される中で到着した富士山5合目、案の定、霧がかったコンディションの中で登山スタート。
これからどんな道のりが待ち構えているのか?不安を胸に富士山山頂への戦いが始まりました。

まさに新しく立ち上がったチーム、そこでサッカーを続けることを選んでくれた選手たち、それぞれが期待と不安を胸にする姿とリンクしました。



そうは言いながらも、スタート直後はまだまだ余裕があり、楽しくトークしながら6合目を目指し歩いている選手たち、そんな楽しむ様子に山の神様が応えてくれたのか、気がつくとそこは青空と太陽の日がいっぱいに。

やっぱり来て良かったじゃん!
と口を揃える選手たち、余裕をみせながら、歩く姿にも笑顔が溢れていました。

これは昨年の夏から今年度を迎えるまでのAFCと重なります。
不安がある中でスタートしながらも、選手たちの楽しむ雰囲気がプラスに働き、徐々にチーム状態が上向きになり、サッカーの質も向上。
この青空と同様に澄み渡った空気感が流れていました。



しかし山の神様が提供してくれるものは決して楽しいものばかりではありませんでした。
7合目を過ぎる頃には、雨と風が強くなり、体感温度も徐々に低下。
雨天時の写真がこの1枚しかないことが、その後のコンディション悪化を物語っています。
(そんな中で終始ハーフパンツ姿の男がいることが不思議でなりませんでしたが笑)

この頃になると、選手の口数も減り、まさに求めていた「自分との戦い」の時間が始まりました。
黙々と8合目を目指すAFC一行、初めてのことですので時間も予定よりも要することになりました。
すると、当然ながら日は暮れ始め、ますます"キツい"状況になっていきます。
雨風は体勢を崩すほどに強くなる時もあり、岩場は滑りそうになります。
休憩所が見えれば「やっと着いた⁉︎」となり、違うとわかった途端に落胆します。
モチベーションが下がり、一歩一歩に力が入らなくなります。

なかなか前進することができません。
これはまさに今のAFCの状態です。

今年度より公式戦に参加し、一つ上の学年と対戦するという「逃げ道と言い訳」を持ちながら戦っていることで、どこか本気になりきれず、前進のスピードが一気に減速しました。



さあ、ここからが未知の世界、富士山登山の大きな意味を持つポイントに入ります。
遠くに小さな明かりが見えました。
「あれが8合目かな?」目標地点がかすかに見え始め、(雨風が強かったせいで)おそらくそれぞれの耳には届いていませんが、「あとちょっとだぞー」という声をかける選手が出てきました。

「よーし、がんばろう!」
「あー!キツい!!」
「絶対に行くぞ!」

辛い中でポジティブな姿勢が表れ始めました。
今のAFCが目指す日頃の姿勢がこれです。
やるしかない、ゴールを目指してやる以上はポジティブに。

やっと8合目にたどり着いたのは19時30分頃(スタートは14時30分)。
到着した瞬間の選手たちは放心状態でした。



そんな頑張りに山の神様からご褒美が。
(8合目に到着後、夜中〜明け方までさらに雨と風が強まり)山頂まで進むことは来年にお預けとなりましたが、ちょうど起きる頃になると急に天候が快復し、ご来光を拝むことができました。

それは言葉にならないほどの景色、みたことのない世界でした。
まだサッカーでは経験したことのない出来事だったと思います。

あのプロセス(苦しみ)の先に、こんなにも素敵な景色がある。

それを自らの力で手にすることができ、さらにゴールを目指してやる以上はポジティブに力を出し切った結果を知ることができました。

日頃のAFCでの活動(トレーニング、勉強など)で入れている力は果たして何合目だろうか?
きっと、7合目に辿り着くくらいの力しか発揮していないと思う、という話を解散時にしました。
そして、これからは8合目を目指していた時のような力を出していこう、と。

これは決して選手たちだけに責任があるのではなく、オーガナイズするこちらにも問題があるからこその7合目まで、だと僕自身もこの富士山登山で痛感しました。

8合目を目指すレベルのプロセスを用意できているか?
そこでポジティブになれる明かりをみせることができているか?



下山後の表情、非常にいい顔をしています。
どんなに大変なトレーニングや課題があったとしても、どんな結果で試合が終わろうとも、終わった時にはこんな表情をしているチームでありたいと心から想うことができました。

チーム全体にこういった気づきを与えてくれた富士山登山、非常に大きな価値があったと思います。
来年の登山までに8合目を目指していた時のような姿勢を継続し、頂上へ辿り着けるチームへと成長すると心に誓います。

伊藤 大介

0 件のコメント:

コメントを投稿